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玉野阿弥陀石棺仏 加西市玉野町
「鎌倉後期〜南北朝時代」
アクセス
・中国自動車道加西ICより、南2km。
・JR加古川線、神戸電鉄粟生線「粟生」駅で、北条鉄道乗り換え、終点「北条町」下車。「北条町駅」よりバス、「玉野」下車、南へ徒歩750m。 
 玉野町の南、豊倉町との境の路傍、道の西側の茂みの中にこの石棺仏は立っている。高さ、180cm、幅103cmの家型石棺の蓋石を使い、内側のくぼみの内に、像高57cmの阿弥陀座像を薄肉彫りしたもので、播磨石棺仏を代表する秀作である。

 鳥の羽状の文様の身光と頭光の二重光背と端正な古典的蓮華座を持ち、衣紋の表現も写実的で、像容も整った優美な石棺仏である。この石棺仏も一見して家型石棺の蓋石を使ったことがわかり、石棺の美しさを十分生かした、印象的な石棺仏である。

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上宮木阿弥陀石棺仏 加西市上宮木町
「鎌倉末期〜南北朝時代」
アクセス
・中国自動車道加西ICより、南へ3kmで兵庫県立フラワーセンター北門前。そこで左折し、3km加西中学校前を北へすぐ。
・JR加古川線、神戸電鉄粟生線「粟生」駅で、北条鉄道乗り換え、「法華寺口」下車。北東へ徒歩約3.5km。
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 加西中学校の前の道から北へ少し入った、上宮木の旧道脇に、2基の石棺仏がある。1基は「キーリク」と阿弥陀仏の種子を薬研彫りした石棺仏である。もう一基は、右の写真の石棺仏である。

 高さ120cm、幅75cmの組合せ式家型石棺の底石に、像高48cmの阿弥陀如来座像を薄肉彫りする。光背は玉野阿弥陀石棺仏と同じ二重光背で、古典的な蓮華座の上に整った端正な阿弥陀仏である。

 玉野阿弥陀石棺仏と較べると彫りは浅く、石棺材といっても底石のため、石棺仏というより板碑といった感じである。




 
延命尼寺跡阿弥陀石棺仏 加西市朝妻町
「鎌倉後期〜南北朝時代」
アクセス
・中国自動車道加西ICより、南南東3km。
・JR加古川線、神戸電鉄粟生線「粟生」駅で、北条鉄道乗り換え、終点「北条町」下車。「北条町駅」よりバス、バス停「山枝」下車、南へ約1km。 
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 加西市の朝妻町には工業団地があり、椿本チェーンなどの会社の工場がある。その工業団地と朝妻の集落との間の茂みの中にこの石棺仏はある。このあたりに延命尼寺があったという。

 高さ112cm、幅72pの石棺だと思われる石材に上品上生印の阿弥陀如来座像を薄肉彫りしている。光背は玉野や上宮木の阿弥陀石棺仏と同じ二重光背で、ほぼ同じ頃の作だと思われる。顔は、玉野や上宮木の石棺仏と較べると丸顔で愛らしい表情である。




倉谷薬師堂阿弥陀石棺仏 加西市倉谷町
「鎌倉時代後期」
アクセス
・山陽自動車道加古川北ICより北へ1.5km。
・JR加古川線、神戸電鉄粟生線「粟生」駅で、北条鉄道乗り換え、「法華口」下車。北へ約2.5km。
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 倉谷町の北側の林の中に薬師堂があり、堂内厨子の中に石棺仏がまつられている。堂内にあるために、拝観できなかったが、本の写真で見ると丁寧な作風の石棺仏である。

 左の写真は薬師堂の外の崖に立つ石棺仏である。高さ137cm、幅95cmの家型石棺の底石に、線刻の舟形光背を負う如来座像を薄く彫り出している。手印は不明であるが、おそらく定印の阿弥陀如来像であろう。

 この石棺仏は、真禅寺の「文永2年(1265)」の阿弥陀石棺仏と同じように下の結跏趺坐の部分は摩滅しているように見え、はっきりとわからない。意図的にこのような表現にしているのではないだろうか。これによって、石と仏像が一体となり、石の生命か仏像となってあらわれたような印象を受ける。




周遍寺旧参道地蔵石棺仏 加西市網引町
「鎌倉時代」
アクセス
・山陽自動車道加古川北ICより西へ約6km。(倉谷町から西へ約4km)
・JR加古川線、神戸電鉄粟生線「粟生」駅で、北条鉄道乗り換え、「網引(あびき)」下車。南東へへ約2km。
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 網引町の南の丘陵地帯の広域農道の路傍にこの石棺仏がある。この石棺仏から北へ細い山道を行くと白雉2年(651年)法道仙人が、堂宇を建立したことにはじまるという古刹周遍寺がある(この道は現在、使われていない)。

 高さ180cm、幅95p、厚さ35pの家型石棺の蓋石の内面に、地蔵菩薩立像をやや厚く薄肉彫りする。左手に宝珠を持つ古式の地蔵で、右手は弥勒式に掌を伏せた印になっている。播磨の石棺仏では珍しく、彫りが深く、半肉彫りに近く、素朴で重量感のある石棺仏である。

 山伏峠や玉野の石棺仏と並ぶ大型石棺仏で、周りの風景にとけ込み石棺の美しさを十分生かした石仏である。


 
 
密蔵院阿弥陀石棺仏 加西市網引町
「鎌倉後期」
アクセス
・山陽自動車道加古川北ICより西へ約6km。(倉谷町から西へ約4km)
・JR加古川線、神戸電鉄粟生線「粟生」駅で、北条鉄道乗り換え、「網引(あびき)」下車。北東へへ約0.5km。
  周遍寺の一院であった密蔵院が、北条鉄道「あびき」駅の北東、県道79号線と81号線の交差点の北東側にある。きれいに整備された寺で、81号線に沿った場所に広い駐車場がある。駐車場の西側に古い墓石や石仏を集めた一角があり、その一番下の段の中央に安置されているのがこの阿弥陀石棺仏である。

 小型の家形石棺蓋石の内側に上品上生印の阿弥陀座を薄肉彫りしたもので、大きな蓮華座の上に坐す。光背は円形に近い舟形で、四角形の穏やかな大きな顔と小さな手に特徴がある。


加西市の石棺仏1 加古川市の石棺仏 姫路市・加東郡の石棺仏


1_b2.gif (1021 バイト)播磨石棺仏地図