白滝山の石仏 広島県尾道市因島重井町

sirataki1.jpg (15885 バイト)   因島は瀬戸内海の中央に位置し、村上水軍の島として知られている。 因島市は一島一市の町で造船業によって栄えた。現在は本四連絡橋の尾道・今治ルートがとおり、歴史の島・観光の島として注目されている。

 その因島の東北端にある白滝山は、 岩神の霊場、霊山として知られ、15世紀のはじめ、 村上水軍の将、村上吉充によって、観音堂が建立された。

   この白滝山の中腹から山頂にかけて、約七百体の奇態万象の石仏が林立している。

   頂上には阿弥陀三尊・釈迦三尊像・伝六夫婦像・三大師の他、五百羅漢や十字架を刻む観音磨崖仏や烏天狗などの様々な石仏が安置されている。

   これらの石仏は、 文政年間に因島重井町の柏原伝六(一観)が、神道・仏教・キリスト教・儒教の宗教の共通理念を一つに融合して「一観教」を編みだし、弟子の柏原林蔵を工事責任者として、 尾道より、石工を呼び寄せ彫らせたものである。 「一観教」は、伝六自ら教祖として布教され、信者は文政八年(1825)には数千人を数えたという。

   白滝山の石仏群は江戸時代後期、一人の教祖によって生まれた新興宗教が生み出した、自由奔放な表現の個性的な石仏群という点で、信州修那羅の石神仏と共通している。

   しかし、石仏から受ける印象は修那羅とは大きく違う。瀬戸内という風土の為か、全然じめついたところがなく、非常に明るい。この明るさが瀬戸内の石仏の魅力である。


1_b2.gif (1021 バイト)瀬戸内の石仏地図



尾道の石仏1 白滝山・黒滝山の磨崖仏 尾道の石仏2(竜王山)